2018年4月4日
足元から見る
昔の生活環境と今の生活環境
鷲掴み力の必要性について
現在の日本人の足は、長く広くなり、足の経は細く低く、いわゆるローアーチで開帳足(甲薄幅広)の傾向が強まっており、また加齢や運動不足などと共に足が小さく広くなることが判明(現在の主流の靴サイズは、幅が広い3Eや4Eなどに)しています。
それに沿って、足のトラブル(偏平足、開帳足、外反母趾、巻き爪、浮き指など)も増加、足のトラブルから姿勢の悪さも引き起こすことから、冷え性、血行不良、腰痛、肩こり、モートン病などの原因の一つに、また腸内環境悪化、肥満、筋力低下なども引き起こすことが考えられます。
そして足裏にある内蔵のツボや反射区を刺激しない生活にもなっているために様々な体の不調が現れる一因にも。
現在、アスリートでなくても足裏アーチの潰れ、偏平足からくるシンスプリントやジャンパー膝などを抱えている方が非常に多くなっております。
今の生活環境における靴は、カカトが高くなっており、足指が伸びきった状態(力なく反った状態)で前重心になり、ふくらはぎが常に縮んだ状態になることから、足指の力が落ち、血流も悪くなることが考えられ、血液循環に大切なふくらはぎ(第二の心臓)の機能、いわゆるポンプの役割が果たせず、腸内環境においても悪い影響を及ぼすことが考えられます。
さらに普段、座った状態のデスクワークが続くことで、ふくらはぎの筋肉は伸ばされることが少なくなり、筋肉が硬くなっていくことも考えられます。
現代は、普段の生活自体が、ほとんど上り坂を登ることがなくなり、エスカレーター、エレベーター、階段などを使用、常に座る生活様式になっていることからも足指の力が落ち、長年の足裏バランス、アーチの崩れ、いわゆる鷲掴み力(足指力、足裏アーチ力、踵力)の低下による姿勢の悪さを引き起こし、様々な不調を引き起こす原因の一つと考えられます。
疫学的に坂道の多いところに住んでいる人間は健康長寿である
今までの歴史の中で、健康長寿であった地域は、ほとんどが坂の多い村や町です。
疫学的に坂道の多い村は、健康長寿であることが判明しており、健康長寿イコール腸内環境も整っていることから、健脚を育む坂道の多い村に住む人々は、足裏のアーチ、ふくらはぎが発達し、そこから腸内環境が整う上で必要な中殿筋、腹横筋、脊柱起立筋などのお腹のインナーマッスルも強化されていることが考えられます。
世界の3大長寿村と言われるコーカサス地方のアブカシア(黒海に面した高地:ソビエト連邦)、フンザ(山々に囲まれたカシミール地方:パキスタン)、ビルカバンバ(ペルー国境近く:エクアドル)、また日本の長寿村である棡原村(山梨県)や吉浜村(岩手県)などの多くが坂道の多い村や町であり、常に上り下りの坂道を使う生活習慣になっていたことが健康長寿であった大きな要因の一つとして判明しています。
上り坂を上ることは、重力の働きにより自然に足指、腰に力が入ります、常に坂道を使うことで、足指を使う鷲掴み力(足指力、足裏アーチ力、踵力)を養う習慣であったこと、またゆるい上り坂に立つ事でふくらはぎが伸ばされますが、ゆるい上り坂に立つ角度が、踵からつま先まで使わなければならない正しい荷重が足の裏にかかることからも、上り坂を上ることは、正しい加重の掛かった姿勢(理想的な姿勢・背骨のS字湾曲の形)になる習慣であったことが言えます。
本来、人間は骨盤周りのインナーマッスルは骨盤が前方に傾く「前傾」というポジションにある事で上手に働くように設計されています。しかし、踵が高くなった靴を履いて、イスに座って猫背の姿勢でいることは、本来の人間機能を発揮することが難しく、そして現代は、裸足の生活が少なく、足指を使わない生活習慣のため、結果、足指を使わなくなることで足指を動かす筋肉や腱が弱り、支えている足裏の縦と横のアーチが弱くなる=足が弱っていることが考えられます。(偏平足は足の縦のアーチが落ち、外反母趾は、横のアーチが低平化することによって起こります。)
昔から健脚(足の力が強く、よく歩けること)な方は、健康長寿であるとも言われており、足の良し悪しが姿勢を、そして健康を左右することが考えられます。
そのような背景のもと、腸内環境始め、身体機能が正常に動くための原理原則は、重力の中で生活している直立二足歩行である人間において、姿勢が大切であることからも、地面との唯一の接点である足裏、足指の力、いわゆる鷲掴み力(足指力、足裏アーチ力、踵力)が重要であることが分かります。